大手コンビニの違いを数字で比較

カテゴリ:小売業界
ES研究所 2018年02月14日
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こんぺいとう

はじめに

ここでは日本の大手コンビニグループの

  • ・セブン&アイHD(以下:セブン&アイ)
  • ・ユニー・ファミリーマートHD(以下:ユニー・ファミマ)
  • ・ローソン
  • ・ミニストップ

を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージだけでなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。

目次

  1. 大株主・有名子会社・関連会社の比較
  2. 事業規模の比較
  3. 安全性の比較
  4. 利益性の比較
  5. 事業セグメントの比較
  6. まとめ
  7. 志望動機として使えそうな点
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大株主・有名子会社・関連会社の比較

2017年 時点

表36

事業規模の比較(単位:百万円)

セブン&アイ

表18

ユニーファミマ

表35

ローソン

表33

ミニストップ

表1

売上高&純利益 順位

表26

セブン&アイは4社中では圧倒的に売上高と純利益の額が大きいですが、これはイトーヨーカ堂等々の業績も含むためです。

2位以下を見ていくと売上こそユニー・ファミマが2位ですが、純利益ではローソンに劣後しています。

そしてミニストップは大手と言えども4社中では圧倒的に規模が小さいようです。

安全性の比較

セブン&アイ

表11

ユニーファミマ

表10

ローソン

表2

ミニストップ

表32

流動比率 順位

表25

セブン&アイ以外は短期繰りはちょっとイマイチなようです。

自己資本比率 順位

表31

自己資本比率では規模が小さいミニストップがトップで財務基盤はしっかりしているようです。

そしてセブン&アイは相変わらずの安定感です。

利益性の比較

セブン&アイ

表34

ユニーファミマ

表3

ローソン

表29

ミニストップ

表6

利益率 順位

表19

ネットFCF 順位

表14

実質設備投資/営業CF 順位

表16

総合的にはセブン&アイとローソンが2強でミニストップは利益率が低い上に稼いだお金のほぼ全てを設備投資に注ぎ込んでしまっているので経営に余裕がないことがよくわかります。

事業セグメントの比較

セブン&アイ

表9
表15

売上についてはコンビニ事業とスーパーストア事業が構成の大きな部分を占めますが、利益に目を移してみるとほとんどの利益をコンビニ事業で稼いでおり、スーパーストア事業はあまり効率良くないものだということがわかります。

そして金融関連(セブン銀行等)が売上の割に利益が多いことからこの会社にとっての「金の卵」だということがわかります。

ユニーファミマ

表27
表17

売上も利益も半分以上をコンビニ事業から稼ぎ出しているようです。

ちなみに2015年度と2016年度の数値がゼロなのは、まだファミリーマートとユニーが統合していなかったからです。

ローソン

表13
表20

この会社もコンビニ事業が売上と利益のほとんどを稼ぎ出しているようです。

成城石井とエンタテインメント(HMVやユナイテッドシネマ等)はコンビニ事業ほど利益効率が良くないようです。

ミニストップ

表40
表8

この会社は他の3社と違いコンビニ事業単体で商売をしているので国内事業か海外事業かという分け方になります。

意外と海外事業での売上が半分以上を占めているので、売上構成比だけ見るとドメスティックな企業という感じがしません。

しかし利益を見てみると海外事業が業績の足を引っ張っており、さらにその足の引っ張り方が年々ひどくなっていることがわかります。

ここでコンビニ事業内での売上の種類別構成比を見てみましょう。

ちなみに

加工食品
比較的賞味期限が長い食品
ファスト・フード
店舗で調理および販売を行う食品
日配食品
賞味期限が短い食品(生鮮食品・惣菜など)
非食品
食品以外のもの(だいたいたばこなども含まれる)

という区分です。

セブン&アイ

表30

順位

表23

ユニーファミマ

表21

順位

表38

ローソン

表37

順位

表7

ミニストップ

表22

順位

表28

表を眺めてみるとローソン以外はたばこも含む非食品の順位が上位であることがわかります。

それ以外の項目は各社でバラツキがあり、何となくですが個性が出ているように思えます。

特に注目したいのはローソンの売上構成の半分以上を加工食品が占めていることです。

他の3社は上位3品目がそれぞれだいたい30%程度になっていることから、ローソンがいかに加工食品に偏重していることがわかります。

そしておそらくこの偏重具合がさきの「利益率」の項目でローソンが1位である理由の一部になっていると思います。

というのも、賞味期限が短い日配食品・加工食品・ファストフードを売るよりも賞味期限が長い商品を積極的に売った方が売れ残りに伴う廃棄が少なくなる、つまり数字上でもロスが少なくなるからです。

そういう意味では非食品はロスの可能性が一番少ないので最高だと思うのですが、なんだかんだで各社とも各種食品が売上構成の大きな部分を占めていることに変わりはないので、その中で「いかに食品のロスの可能性を低く出来るか」はコンビニにとってけっこう重要な問題なのではないかと思います。

ついでに地域別の収益も見てみましょう。

セブン&アイ

表5

ユニーファミマ

表4

ローソン

表24

ミニストップ

表12

ユニーファミマとローソンはほぼドメスティックな会社と言えますが、セブン&アイとミニストップは海外展開が出来ているようです。

特にミニストップはこの数字を見ると日本の会社ではなく、韓国の会社に見えてきます。

まとめ

これまで見てきた4社の特徴をまとめると以下のようになると思います。

セブン&アイ

  • ・国内で圧倒的なトップ
  • ・スーパー事業はあまり儲かっておらず、利益のほぼ全てをコンビニ事業で稼ぎ出している
  • ・業態が多様でその中でも金融事業は金の卵

ユニーファミマ

  • ・ユニーと統合したことで連結決算では事業規模は国内2位だが、コンビニ事業だけ見てみると利益効率などの面でおそらく国内3位に位置すると思われる
  • ・特にこれと言った特徴はあまりない

ローソン

  • ・事業規模こそ国内3位だが、利益効率などの商売の上手さは国内トップと言っても過言ではない
  • ・ただし財務基盤(流動比率&自己資本比率)はあまり良くない

ミニストップ

  • ・国内大手コンビニの中では事業規模はかなり小さい
  • ・海外(主に韓国)で売上の半分以上を稼いでいるが利益は全然出ていない、というか赤字
  • ・稼いだお金のほぼ全てを設備投資で吐き出しているため、経営に余裕はない
  • ・ただし財務基盤(自己資本比率)は4社中で最もしっかりしている

志望動機として使えそうな点

セブン&アイ

  • (1)国内で圧倒的なトップである点

→国内トップ企業で働きたいと言う人にはうってつけだと思います。

  • (2)業態が多様な点

→色々な仕事をローテーションしてみたいと考えている人には向いているかもしれません。

ユニーファミマ

  • ・色んな意味で個性がない点

→業界内で波風立てずに、安定して仕事がしたい人には向いているかもしれません。

ローソン

  • ・経営が優れている点

→優秀な経営陣の下で仕事をすることにより、商売のノウハウを身に着けたいという人には向いているかもしれません。

ミニストップ

  • (1)海外売上比率が高い点

→海外で働きたいと思っている人にとっては意外と穴場なのかもしれません。

  • (2)事業規模が圧倒的に小さい点

→ベンチャースピリットを持っている人、あるいは「小が大を制する」という考え方に共感する人には向いているかもしれません。

これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人にあったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。